国土交通省の「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」でマンション管理業者に対して行った行政処分等が公開(期間2年間)され、マンション管理業者の元社員や元管理員の管理組合財産の着服といった理由に対する処分が公開されています。事件の内容によっては、共有の財産を毀損された区分所有者によって管理組合役員会が糾弾される状況も容易に想定されます。しかし、なぜ、このような行政処分となる状況がマンション管理組合で起きていることを管理組合役員会は見過ごしてしまうのでしょうか?
東日本大震災後、「正常性バイアス」という言葉が再認識されています。これは「自然災害や火事、事故・事件等の犯罪などといった自分にとって何らかの被害が予想される状況下にあっても、都合の悪い情報を無視したり、「自分は大丈夫」「今回は大丈夫」「まだ大丈夫」などと過小評価したりしてしまい、逃げ遅れの原因となる。」(Wikipedia)というものです。
私はある総合建設会社で技術開発を中心に仕事をしていましたが、新人研修の時代に約400戸のマンション建設現場でコンクリート工事の生コン車の入場管理を行ったことがあります。その時、生コン車の運転手に「コンクリートに水を入れさせてくれ」といわれたことがあります。コンクリートは水:セメント比が重要で、現場で水を入れたら品質の悪いコンクリートになることから、当然、断りました。しかし、「生コン車の運転手だから」と正常性バイアスが働いて水を入れるのを許していたら品質の悪いコンクリートを施工してしまったばかりでなく、その品質が問題となった時に、その生コン車の運転手に「あの監督が水を入れてもいいと言った」と責任転嫁されるのは明らかです。
この「生コン車の運転手」と同様のことが「マンション管理会社」、「マンション管理員」にもいえ、マンション管理組合の役員会のメンバーも「正常性バイアス」が働いていないか、チェックするための客観性を失わないように注意が必要です。
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建設産業・不動産業:マンションの管理の適正化の推進に関する法律関係 - 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000269.html
国土交通省ネガティブ情報等検索システム
http://www.mlit.go.jp/nega-inf/cgi-bin/searchmenu.cgi?jigyoubunya=mansyon
正常性バイアスを知っていますか?「自分は大丈夫」と思い込む、脳の危険なメカニズム(tenki.jpサプリ 2015年4月18日) - 日本気象協会 tenki.jp
http://www.tenki.jp/suppl/m_yamamoto/2015/04/18/3081.html
防災心理学、正常性バイアス、多数派同調バイアス、
http://www.bo-sai.co.jp/bias.htm
2016年04月01日
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