モデルチェンジされたINAXの洗面化粧台エルシィが3月28日、柏のINAXショールームで見られるということででかけてきました。
スライドタイプの引き出しの奥行きが深くなったのは収納力の向上でよいのですが、その引き出しを開けようとして「あ、これはだめだ・・」と思ってしまいました。
現行モデルはライン取っ手で引き出しの上端に手をかける場所がありますので腰に負担はあまりかかりません。ところが新しい製品は引き出しの下側に手をかけないと開けられません。手をかけるために腰を曲げる必要があり、その角度がみごとに腰に一番負担のかかる角度となっています。そして引き出しの底にあるものを取り出す場合、上体を伸ばして、また、腰を曲げる必要があり、「使い勝手が悪い」としか言いようがありません。
「ライン取っ手は普及したから、新しいデザインを」という安直なデザイン会議の姿が透けて見えるようです。カタログに「凹凸をなくした手掛け仕様」と書かれていますが、「よくこのような文句を書けたなあ」と呆れます。
これをデザインした人間は洗面化粧台の引き出しの開け閉めをしたことがないのでしょう。この新しいエルシィの上段の引き出しを開け、引き出しの底のものにアクセスし、閉めるという一連の動作を100回続けたら、何が問題なのか、わかるはずです。
洗面化粧台のように日常使う製品は、人間工学に基づく設計を核としてそれにデザインが乗ってくるものです。新しいエルシィは初代のエルシィのデザインの肝となるものを失ってしまいました。
仮にこの新しいエルシィを選ばれるのでしたら、腰の負担を軽減するために、上段の引き出しの上部に取っ手(市販で薄手の目立たないものがあります)をつけることをお勧めします。
洗面化粧台『L.C.(エルシィ)』4月1日発売
http://www.inax.co.jp/company/news/2009/010_equipment_0217_388.html
【追記】
新しいエルシィは化粧台本体の価格こそあまり変わりませんが、ミラーキャビネット(照明、コンセント付)をはじめ、周辺キャビネットの単価は高くなり、ミドルキャビネットなどの選択できるオプションは少なくなり、さらにエルシィの魅力のひとつとなっていたシステム洗面化粧台ともいえる間口にあわせて加工が可能なカウンターはなくなり、製品の魅力は大幅に減少しました。
6月末まで受注可とのことで、モデルチェンジ前のエルシィで洗面化粧台を更新することにしました。
2009年03月28日
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製品設計は後退する
Excerpt: 以前、機械設計を仕事にしていたことがあり、この時、念頭に置いていたことに「以前の設計より、よいものを・・」があります。設計前に100%わかって設計できることは稀で、ある部分は仮定を置いて設計せざるを..
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