高額商品の自動車を買うと決めた人の心は一種のハードルを越えた状態にあり、オプション部品などを売りやすい心理状態となっていることは、マーケティングなどを学んだ人にはよく知られているところです。
洗面化粧台やシステムキッチンの本体は同じなのに扉の仕上げの差によって「エッ!」と思う価格差がついているのを見ると「これがこんなにするの? ここで儲けているの?」と思えるものが多くあります。これも上記の自動車のオプション部品と同じ心理戦略と思われます。
ショールームで85cmくらいの幅に洋風大便器とその側壁にカウンターが設置されているのをしばしば見かけますが、このカウンターのオプションにはいつも「??」と考えさせられます。
体格によって差はありますが、人の肩幅を50cmと仮定すると、人間は左右に揺れて動きますので、左右に5cm程度動くとすると60cmのスペースが必要となります。壁面に設備されるカウンターの奥行きは10cm程度ですので、洋風大便器がトイレのセンターにあるとすると、カウンターの端と人間との距離はほとんど余裕がないものであることが計算でわかります。つまり、80cmとか85cm幅のトイレにカウンターを設置することは人間の動きを制約(心理的なものも含む)するだけのものとなります。カウンターは掃除をしにくくしますが、何よりも疾病や加齢などで体の動きが思うようにならなくなった時、カウンターそのものが介助などで邪魔になります。
トイレの幅が100cmを越えるならば、オプションのカウンターをつけても問題とはならないですが・・。
「広さは七難隠す」
この言葉は設計計画のあらゆる面であてはまりますが、トイレも例外ではありません。
「必要最小幅を損なうオプションは入れない」
このような心構えをして、トイレのリフォームの仕様決定を行う必要があります。
それにしても同じ会社の中でトイレのバリアフリー商品も販売しているのですから、不思議です。トイレは一度リフォームすると何十年もつきあわねばなりませんので、メーカーも目先の利益を求めるのではなく、消費者の「ものを見る力」を養う製品企画をして欲しいものです。この意味でメーカーもオプションのカウンターについては「幅の狭いトイレでは使い勝手を損ねる可能性があります」などと表示して、高額商品の購入で心理状態がハイとなっていて判断力が薄れている人へ注意喚起して欲しいものです。
2009年03月29日
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