2013年07月20日

「受水槽をご使用のお客様へ」(平成20年1月、千葉県水道局)について

suidokyoku-h20.jpg
パンフレット-水道局/千葉県
http://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/souki/pr-info/pamphlet.html#07
受水槽をご使用のお客様へ(総3ページ)
http://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/souki/pr-info/documents/tyoketutenkan.pdf

 管理組合の『周知版』(平成25年、No.2)が発行されました。
 その中で受水槽の改修工事に関する記述がありました。長期修繕計画に記された工事は修繕積立金の根拠とするために記載されたもので、その工事をその年に実際に行う必要があるかとは別のものです。私の認識は受水槽内部、塗装表面が経年による劣化(白化)は認められるものの、構造物としては何ら問題を発生していないというものです。

 改修の内容として現在の受水槽方式を直結給水(増圧)方式に検討していることが記載されていますが、その根拠となる千葉県水道局の「受水槽をご利用のお客様へ」という資料があげられています。この文書は平成20年1月の発行で、平成23年3月に東日本大震災が発生し、給水本管からの給水が途絶えること、取水源の水質悪化などで正常な給水ができなくなることが現実的なものとなることについては全く考慮されていません。東電の福島第一原子力発電所が地震に対するリスクに対して充分、対応していなかったことと類似する考えのように思えてなりません。また、今年もそうですが、近年の夏場の水源の貯水量の低下により、水道の圧力の低下も現実的なものとなっています。
 そして例えば港区では既にその『港区高層住宅の震災対策に関する基本方針』の中で「上水道が供給停止した場合に、受水槽や高架水槽内の水を飲料水として活用します。」と明確にうたっています。
 マンションに居住する側からすれば、マンション設備として少しでも長く居住者に給水を続けられる受水槽の存在はリスク対策の上で非常に重要なものとなります。
 千葉県水道局の「受水槽をご利用のお客様へ」というパンフレット、東日本大震災の経験から、リスク対策の観点から全面改訂が必要と考えられます。そしてマンションの設備を考える立場として、「県がこのように資料を出しているから」といった考え方ではなく、「災害に対するリスク対応をどうすべきか?」という自立的な考え方が不可欠といえます。
 なお、国土交通省の「緊急時水循環機能障害リスク検討委員会報告書」(平成19年3月)は東日本大震災発生前の報告書ですが、上水道の原水を取水する河川の汚染などに踏み込んだ検討も行われていて、参考となります。

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パンフレット-水道局/千葉県
http://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/souki/pr-info/pamphlet.html#07
受水槽をご使用のお客様へ
http://www.pref.chiba.lg.jp/suidou/souki/pr-info/documents/tyoketutenkan.pdf
港区公式ホームページ/高層住宅の震災対策
http://www.city.minato.tokyo.jp/kikikanri/bosai-anzen/bosai/daishinsai/koso.html
港区高層住宅の震災対策に関する基本方針
https://www.city.minato.tokyo.jp/sougoukeikaku/kankyo-machi/toshikekaku/kekaku/bousaimachidukuri/documents/3-5.pdf
緊急時水循環機能障害リスク検討委員会報告書(平成19 年3 月、国土交通省 緊急時水循環機能障害リスク検討委員会)
https://www.mlit.go.jp/common/000132572.pdf
「東日本大震災水道施設被害状況調査報告書(平成23年度災害査定資料整理版)」について|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/houkoku/suidou/121214-1.html
金融庁業務継続計画(首都直下地震対応編)(平成24年8月29日、金融庁)
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20120829-1/02.pdf
・金融庁の業務継続計画で「(@)上水: 想定災害発生後3 日間程度、外部からの供給が途絶するものと想定する。もっとも、この間、中央合同庁舎第7 号館(西館)の利用者(約2,000名)の最低11 日分程度が受水槽に備えられているため、上水の利用は可能なものと想定する。」と受水槽の使用が明確にうたわれています。

究極の「防災マンション」|R.E.port [不動産流通研究所]
http://www.re-port.net/topics.php?ReportNumber=29739
・三井不動産レジデンシャル(株)の「パークシティ武蔵小杉ザ グランドウイングタワー」が紹介されていてその設備として、受水槽や雑用水槽、エコキュートなどに1世帯当たり常時“1,000リットル”の水を確保、飲料水と生活用水は、約1週間分、トイレ用水は約10日分という備蓄量とされることを紹介しています。
posted by M. Ichikawa at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 南流山弐番街
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