神明堀の中のPC板を用いた壁 以前、本blogで「
神明堀の構造物、大地震に耐えられるの? 」を書きました。上記の写真のPC板の上部を単純につなぎ梁で結合した構造では、地震時にPC板に鉛直荷重のみならず、梁の先端が左右に振れることによる捩じり力も加わり、大地震では強度的に不十分ではないかという懸念です。
これに対して下記の回答が流山市からありましたが、技術的な説明はなく、「大丈夫だから」と書くのみで少々、がっかりしてながく放置していました。
この構造物について耐久性についても課題があります。
コンクリート構造物の寿命を決める要素として「コンクリートの中性化」があります。鉄筋コンクリートの鉄筋はコンクリートのアルカリ性によって腐食の防止が図られていますが、大気中の二酸化炭素とコンクリートの炭酸化反応により中性化すると鉄筋を保護する能力がなくなり、鉄筋が錆び、爆裂などを生じさせた著しく強度が低下するものです。この中性化の深さXと時間tの間には、X=A√tの関係があります(A:中性化速度係数)。Aの値は水セメント比や様々な条件で一定ではありませんが、経年により中性化が進展し、何もしなければ鉄筋を錆びさせ、構造物の強度を低下させます。コンクリート矢板として使用する場合、背面は埋戻しなどにより湿潤な状態が保たれますが、今回、私が指摘した部分はコンクリート矢板を両面、大気に露出した状態にあり、コンクリート構造物のおかれた条件はより厳しいものとなります。
メンテナンスの困難な土木構造物、コンクリートの中性化からコンクリートの被り厚を考慮して設計されますが、「あの薄いコンクリート打ち放し仕上げのPC板、耐用年数をどのように設定しているのだろう?」です。永久に存続する人工構造物はあり得ませんので・・。
* * * 流山市からの回答 * * *
神明堀の中のPC板を用いた壁について平成24年2月24日に問い合わせのありました神明堀の中のPC板を用いた壁について、下記のとおり回答いたします。
記
ご指摘のとおりPC板は、既製品の加圧コンクリート矢板であります。
この矢板は、高強度コンクリートを使用することにより薄い断面であっても、永久構造物としての耐久性を保持することが特長となっており、水路護岸としての採用実績が豊富な材料です。
また、当施設は、下水道施設の耐震対策指針に基づき構造物を決定しており、レベル1地震動に対応しております。

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中性化 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%80%A7%E5%8C%96神明堀の構造物、大地震に耐えられるの? 南流山通信ブログ
http://s-nagareyama.sblo.jp/article/54093991.html
posted by M. Ichikawa at 11:25|
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